健診で脂質異常症を指摘されたら~放置すれば動脈硬化を招く~
脂質異常症は血液中の脂質バランスが崩れ、基準値から外れた状態を指します。
LDL(悪玉)コレステロール、HDL(善玉)コレステロール、中性脂肪の3つの値に異常が見られるもので、治療が必要なものの多くは、以下のケースです。
- LDLコレステロール値が高い
- 中性脂肪の値が高い
- 3つを合わせたトータルコレステロール値が高い
あなたの脂質異常のタイプはどのタイプでしょうか?
動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版
数値が高い人は受診を
脂質異常症は自覚症状を伴わないのが特徴です。
コレステロール値が少々高くても、「まあいいか」と放置する人がほとんどですが、動脈硬化の大きな要因になることを知っていますか?硬くなった血管はもろく、心筋梗塞や脳梗塞をはじめ、全身に血液を送る大動脈内にこぶができる大動脈瘤、大動脈の内膜が裂ける大動脈解離など、命に係わる事態を招く恐れもあります。
受診と治療は、これから起こるかもしれない動脈硬化性の疾患を防ぐため。
何も症状がない今のうちに、目標値までしっかり管理することが重要です。
専門家の指導で効率的に生活改善
コレステロール値を下げる薬物療法もありますが、治療の入り口は食事療法と運動療法です。若いころからの生活習慣というのは意外と変わらないもので、特に働き盛りの世代ほどルーティンが決まっています。残業や会食で乱れやすい食生活も、医師や管理栄養士の助言や指導が入ることで効率的な改善が可能になります。単に“コレステロールを下げる食事”ではなく、個々の年齢や基礎疾患、ライフスタイルなどに応じた管理目標値が目指せます。
とは言え、例えばダイエットのように目に見えて効果を実感しにくいため、自分ひとりで継続するのは難しいものです。そんな時は家族やパートナーと一緒に受診をすることをお勧めします。声掛けによるモチベーションの維持、食生活の改善にも大きなメリットがあります。
食事と運動は健康のベース。大切な人と一緒に、さらなる健康を目指すのもいいですね。
当院でできること
STEP1:脂質異常症の診断
STEP2:リスクの評価
STEP3:治療(薬物療法・管理栄養士による食事療法)
当院でできる動脈硬化リスクの評価
- 血液検査: コレステロールや中性脂肪のほか、糖尿病など合併の有無をチェックします。
- ABI検査: 足の血圧を測定して下肢動脈の詰まりを評価します。
- 頸動脈エコー: 頸の動脈の状態を観察し、動脈硬化の進行をチェックします。
- 心臓超音波検査・(運動負荷)心電図: 心臓の形態や働きを調べます。動脈硬化により心臓の血管が詰まってしまう狭心症や心筋梗塞の評価を行います。
中央:超音波検査機器 右:自転車運動をしながら心電図を評価します。
リスク評価および治療目標はご年齢や基礎疾患によっても変わりますので、健診などで異常を指摘されたら是非ご相談ください。
また、一度治療を始めてやめてしまった方もお気軽にご相談ください。